政治家はなぜ「お願いするのか」その4

2010/08/04


先に手を出した喧嘩で自尊心も財産も仕事も全て奪われた上に、ヤクザ側の弁護士から正当防衛という理論武装でとどめをさされる。

どうせ闇の中で消されるなら自殺しようとするとそのヤクザに止められる。

 

自暴自棄になっている状況でヤクザの話を聞くと、思ったより悪い奴ではないように感じてくる。

ヤクザが、もし仲間になるなら、命は助けてやるし、財産も半分返してやろう、と提案する。

 

とりあえず武器になるものは全部差し出せ、俺達「平和組」連合の掟を死ぬまで守れ。この密約を破った場合は小指の一本くらいではすまないぞ。

俺達「平和組」連合に逆らわない範囲での防衛力保持は許してやる。

 

一度は殺された身、いったんヤクザの仲間に入ってみると思ったより快適だ。

常に監視の目は光っているが結構自由もあるし、金儲けもできる。

 

ただ、他の組からの襲撃を守ってやるという名目でいくつかの部屋を占拠されるがそれはしようがない。

もちろんそこに出入りする用心棒達の飲み食いの費用は「思いやり金」という名目でこちら持ちだ。

 

他にもいろいろ意に沿わない事は多いが元はといえばこちらが仕掛けた喧嘩に負けた上に命は助けられた借りがある。

密約の建前論だけを子供向けに書き直した「平和家訓」も子供たちには好評だ。

 

しかし、子供達が大きくなると、「お父さんなんで家の離れにはいつも変な奴がいるの、追い出してよ。あんなものおいておく理由はないじゃない」

「平和家訓にも反するんじゃない?」と突き上げられる。

 

「よし、なんとかしよう。最低でも室外に追い出そう」

調子に乗って安請け合いしたところヤクザの子分から電話が来る。

 

「お前立場わかってんのか、えー」

「すみません。認識甘かったです。」

 

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