2011/11/15
はじめまして。25歳男の会社員です。失礼します。
コラム、随想の喧嘩を読ませていただきました。
現在の私の悩みがこのコラムに解決の糸口があると思いましたので、どうか質問させてください。
私は相手が舐めた態度や言葉遣いをしてきたらそれを許すことはできず、殺してやろうかと思うくらいカッとなります。
殺しはしなくとも暴力は犯罪ですし、会社で暴力を振るおうものなら、確実に職を失います。
黒帯を取ると心に余裕が出来るのですか?
相手の心無い暴言への許容範囲を大きくしたいです。
このままでは、この殺意をコントロールできません。
私は腕力も強く、○○空手をやっているので、こういう舐めたやつを病院送りにすることはた易いです。
しかしそれを法律が許さない。
私は口喧嘩が得意ではないので、あまり言い返すことが出来ません。
舐めたやつに思い知らせるにはどうしたらよいのでしょうか?
社会はなぜココまで力を規制する必要があるのでしょうか?
躾のためにげん骨を食らわすというのは絶対に必要だと思います。
言葉で言ってわからない事も必ずあると思います。
現代社会では諦める方が賢いのでしょうか。
どうしたらこの煮えたぎるハラワタを押さえるコトが出来るのでしょうか?
初めてのメールでこんな事を質問してしまいすみませんでした。
この質問に関しては回答しようか迷いました。
質問がくだらないからではありません。
この若者が感じた「舐めた態度や言葉遣い」は、状況によって感じ方は人それぞれであろうとは思いますが、この手の話を聞くことは少なくありません。
一般論として最近人とのコミュニケーションをうまくとれない人が増えてきたような感じもあります。
電話応対などでも感じるのですが、必要以上に慇懃であったり、また逆に無礼であったり、二極化といいましょうかどうも極端な人が増えてきているように感じます。
私個人の感じとしては企業のクレーム担当や警察などは、一昔前とは比べ物にならないくらい言葉遣いが丁重になったと思います。
しかし中には慇懃と無礼の格差が開いておりびっくりするような応対や態度の人もたまに遭遇します。
話し合いの場でも、建設的な方向で妥協点を見つけようと話しても、最初から自分の考えに固執して自分の正当性だけを主張し発する言葉が全て攻撃的な人もいます。
つい最近も交差点で横断歩道の上でたまたま止まったトラックの運転手に鬼の首でもとったようにヒステリックな抗議をしている人を見ました。
私は日本の中で東京ほど交通ルールに対してマナーの良いところはないと思っています。(もちろん例外はありますが)
これだけの車がこの狭い東京の道路でなんとかスムーズな通行ができているのは運転手(特にプロの)の「お互い様」という精神がいきわたっているからだと思います。
二車線が一車線に合流したり、レーンの変更したりする場合のマナーの良さはすばらしいものです。
現在は良くなっていると思いますが、私の郷里である福岡の交通マナーなど昔はものすごい酷さでした。
最初に東京で車を運転した時その整然としたマナーの良さには本当に驚いたものです。
しかしもっと驚いた事があります。
その当時の世論は圧倒的な多数が「車のマナーが悪い」という大合唱だったのです。
車を運転しない立場の人からの声でした。
私は不思議でした。
車が赤信号を無視して突っ走る光景はめったに見る事はありません。しかし、赤信号の横断歩道を平気でわたる歩行者や自転車は毎日のように目にします。
私は車も自転車も両方同じくらいよく乗りますので、両者の立場が理解できます。
あまりにもマナーが悪く、危険を感じる時は注意することもありますが、素直に言うことを聞かないのは圧倒的に歩行者や自転車の方々が多いです。
車と自転車や歩行者がぶつかると弱いのは自転車や歩行者です。
その弱い立場の人の方が危険なルール破りを頻繁に行い、注意されると逆切れしたりする。
何とも不思議な現象です。
今は弱者が「いばる」時代なのです。
「いばる」という言葉が不適切なら過剰に権利を主張すると言い直しましょう。
明らかなルール違反をしながら、注意されると逆切れする。
強者の立場の人の些細なルール違反を鬼の首でも取ったようにヒステリックに糾弾する。
こういう人が最近目立ちます。
そして、そういった人たちの多くは弱者の立場であることを強調します。
車と自転車なら自転車が弱者だから、自転車は多少のルール違反をしても守られるべき存在だ。
歩行者と自転車なら歩行者が弱者だから自転車はルールを守るべきだが歩行者のルール違反は問わない。
現代社会は「弱者」は免罪符になるのです。
そうして本当は弱者でもなんでもない輩が弱者を装い、それを武器に横車を押すという現象があちこちに見られるというのが実態なのでしょう。
たとえば昨今ニュースでも取り上げられた「生活保護」の問題。
これも、本質は本来弱者ではない者の不正受給と本当に保護されるべき人たちが受給できていないという事に尽きます。
つまり弱者を装う不届き者が増えたということです。
質問者の方のいらだちはたぶんこうした輩に対するいらだちではないかと思います。
たしかに言葉で言ってもわからないというか逆に反抗してくる者は少なくありません。
特に現在は暴力というか力の行使に対しては有無を言わせぬ規制と罰則があります。
だから昔のような単純な暴力事件は減ってはいますが、そのかわり言葉の暴力というか陰湿ないやがらせや手は出さないが横柄な態度を取るといった姑息な連中が増えているのです。
問題はこういう輩と遭遇したらどうしたら良いかという事です。
質問者の方もそこで悩んでいる。
こちらが正しいのに、言葉の暴力を浴びせる奴らに遭遇したときの正しい対処のしかた。
やはり、いきなり拳骨を食らわせるというのは良くありません。
我々空手家の拳骨が効きすぎるからとかそんな理由ではありません。
私は何事もその対処には順番があると思っています。
最初はやさしく注意する。それでもだめなら言葉を厳しくする。
相手がぞんざいな言葉で返してきたら、それに応じた口調で注意する。
それでもエスカレートしてきたら、最後通牒をつきつける。
それは、「話にならん」でも「勝手にしろ」でも簡単な言葉で良いのです。上手な口げんかは必要ありません。
そしてこちらからその場を立ち去る。
相手が背後から捨て台詞を吐いたら、無視するか再度上記の言葉を返します。
とにかくその場をこちらから離れることです。
これでたぶんすっきりするのではないでしょうか。
しかし時として相手が追いかけて来て理不尽に暴力をふるうことがあります。(結構多い)
こうなると状況は一変します。
言葉ではなく暴力をふるう相手の対処の仕方です。
できれば言葉で相手を諌めます。
それでも暴力を振るってきたら、空手の技術で避けましょう。
どうしても言う事をきかなく身の危険がせまり反撃するしか手段がなくなればしかたありません。
なるべく相手が怪我をしないように気を使って殴り倒すのも一つの方法かもしれません。