ヒット カウンタ

誰でもできる最強筋力トレーニング


今格闘技者だけでなく、全スポーツにおいて日本人が欧米の選手に比べて最も劣っているのは、筋力に関する知識だ。
筋力そのものではない筋力に関する知識だ。

筋力というものは、格闘技では、かなり決定的な要素である。
もちろん、力だけでは何もできないが、同じ技の持ち主同士が戦えば力がある方が有利なのはわかりきった事実だ。

それなのに、日本人はあまりにも筋力に関して知識がなさすぎる。
知識がない理由は、関心がないためであり、関心のない理由は、技に対する伝統的な幻想ともう一つは、多分、劣等感だ。

技に対する幻想は、仙人のような白髪でガリガリの塚原 ト伝が筋骨隆々の宮本武蔵を鍋蓋一つでやっつけるという剣豪小説に代表されるように、技の達人は力が無い、あるいは不要といった暗黙の下地に見ることができる。

もう一つは、体の小さな日本人は、先天的に欧米人に力で劣っているという、幼児期からのすりこみに近いような信仰のようなものである。

最近日本の柔道のある有名な選手がテレビのインタビューで答えたなかに印象的な言葉があった。
「欧米人に力で勝負しても勝てませんので、・・・・・・・・・」という言葉だ。

「・・・・・・・」のところはどうでも良い。技であろうと、精神であろうと、作戦であろうと。
要するに力でかなわないので、その他の工夫で勝ちたいと言いたいのだ。

間違っているのは「力で勝負しても勝てない」という決め付けにある。
同じようなニュアンスの言葉に「肉食ってるやつには勝てない」というのがある。

なんで、日本人は先天的にパワーで劣るという先入観ができたのだろう。
違う人種の同じ体重の人間を集めて、ランダムに選択して筋力を測定して、果たしてどれだけの有為差がでるだろうか。

もし、医学的な統計データをお持ちの方がいたら教えていただきたい。

話が発散するので、これ以上広げないが、そもそも日本人は、国際的な世界に対して一種独特の劣等感を持っている。
それは、言語であったり、文化であったり、芸術であったり、そしてパワーであったりするのだ。

不思議なことに、なんら統計的あるいは実証的なデータも持ちあわせないのに、アプリオリに信じているところが歯がゆい。
ここでは筋力に話しをしぼるが、空手に限らず格闘技をこころざす平均的欧米人の筋力にたいする関心の度合い、知識、それに獲得するために費やす努力はすごいものがある。

すごいというのは日本人に比べてという意味で、本来格闘家になろうとするのならこちらの方が普通なのだといいたい。
最近では日本のスポーツマンもぼつぼつ筋肉トレーニングを本格的に取り入れはじめた者もでてきたが、具体的にその内容をみてみるとあまりのレベルの低さに愕然とするものがある。

努力してないといっているのではない。知識がなさすぎるのだ。
トレーニングというのは、まず、医学的、生理学的に合理的でなければならない。

医者に相談しているというプロスポーツマンもいる。
はっきり言わせてもらう。

スポーツ医学を勉強したり、自分で実践しているごく少数の医者をのぞいて大半の門外漢の医者に筋力トレーニングに関して的確な知識はない。
そもそも、正常な人間に過剰な筋力をつけるということは本来の医学の範疇ではないので、医者に責任はない。

なかには、あやしげな針灸師やマッサージ師の指導を受けているものもいる。
針灸師やマッサージ師がだめだといっているのではない。

彼らの専門は針灸やマッサージであって、筋力トレーニングではないのだ。
欧米には専門の医学や生理学を勉強したトレーナーもいるし、またスポーツマン全体の意識が、全体に実証的、科学的で高い。

格闘技の世界に限っていっても、40歳をすぎてボクシングの世界ヘビー級チャンピオンに返り咲いたフォアマンやマイクタイソンを倒したホリフィールドなどは、専門のトレーナーについて、ボデイビルダー並みの筋力トレーニングを行っている。

ラグビーやフットボールの世界でも、欧米の選手の筋力トレーニングに対する取り組みは並大抵ではない。
彼らの一見してわかる、パワフルな体つきは決して生まれつきのものではない。

欧米人の全てが筋力もりもりのわけがない。大半のスポーツに縁のない欧米人は、ひょろひょろかでぶでぶのどちらかで、カウチポテトの最近の日本の若者と変わりはないのだ。

同じ体重の人間のパワーの差は、全てトレーニングの差だと考えて大過ない。すくなくとも私は、人種による統計データは寡聞にして知らない。

トレーニングで全てが決まる、というのが私の主張だ。
筋力トレーニングの方法は、技や技術のトレーニングつまり、神経伝達系のトレーニングあるいは、呼吸器循環器系の有酸素運動(エアロビクス)とはまるで違うことをまず認識しなければならない。

理想のトレーニングとは、本人が遺伝的素質として持っている可能性の限界まで引き出す方法を見つけ、そしてそれを実践することだ。

プロの格闘家やスポーツマンのトレーニング技術に関して述べることがここの目的ではないので、ここらへんの話はこれでやめて、本題である、「誰にもできる最強トレーニング」の具体的な方法を述べよう。

つづく

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