2012/05/18
平成24年5月5日第5回現空研空手道大会の無差別級決勝戦は過去に例のない展開となった。
それは準決勝で前回i優勝者の二戸(兄)三段を破った軽量級の日辻初段(今回は軽中量級)と同じく過去優勝経験があり今回も有力な優勝候補の一人にあげられていた内田初段を破った中量級の園田(剛)二段(今回は軽中量級)の対決となったからである。
この二人は過去の大会でも入賞の常連であったが、それはいずれも軽量級、中量級での活躍であった。
ちなみに、今回の軽中量級でこの二人は準決勝で当たっており、結果的に園田(剛)二段が優勝、日辻初段は第三位に入賞している。(ちなみに準優勝は水尾初段)
前回の大会でも、一般部軽量級で園田(剛)二段が優勝、日辻初段が準優勝、その前の第三回大会では日辻初段は一般部軽量級で優勝、園田(剛)二段は一般部中量級の準決勝で勝利したものの前歯が落ちて決勝戦を辞退させられ第三位となっている。
このように最近の大会では軽・中量級では常に上位で活躍していたのであるが、無差別級となると体重の壁は厚く、なかなか優勝に絡むことはできなかった。
しかし、今回はこの二人の決勝戦となったのである。
そして試合は始まった。
二人は共に準決勝で死力を尽くした後ではあったが、闘志はいささかも衰えていなかった。
大歓声の中二人は持てる全ての力を出して対決した。
共に上段の蹴りを得意とする二人であるが、互いに手の内を知り尽くしているので、なかなか決定打を決めることはできない。
最初に口火を切ったのは園田(剛)二段の突き刺さるようなカウンターの前蹴である。
これは上段突きを狙った日辻初段の攻撃にタイミングを合わせたものであったが、日辻初段の体制を崩すまでにはいたらずポイントにならず。
一方日辻初段もそのまま押し込んでこれまた伝家の宝刀上段前蹴を放つが、園田(剛)二段に見切られて不発に終わる。
その後は双方上段突きを狙う展開となる。
お互いに接近戦を恐れず勝負に出るので互いの攻撃が交錯するシーンが多く、判定が難しいシーンが続く。
こうして互いに譲らないまま本戦は引き分け。
延長戦へともつれ込む。
延長戦に入ると更に互いの攻めは厳しくなり、クロスした場面が多くなる。
相打ちのシーンが増え互いにスピードもあるので審判も難しい。
残り30秒あたりで、園田(剛)二段が下段回蹴で相手の体制を崩すのと同時に放った上段突がノーガードになった日辻初段の上段を捉えた。
すかさず副審の笛が吹かれ有効技となった。
結局明確なポイントの差はこの有効のみで、最終的には旗判定となり園田(剛)二段がこの激戦を制することになった。
判定の後二人は万来の拍手の中歩み寄って互いの敢闘精神を讃えた。
今回の無差別級は出場者のレベルが高く、本当に誰が優勝してもおかしくない状況だった。
そうは言ってもやはりフルコンタクトの性質上重量級に分があるのは否めない。
そうした状況で軽、中量級の二人で決勝戦を迎えたということに私は大きな意義を感ずる。
柔よく剛を制し、弱よく強を制すというのは武道の真髄であるし、体格的に恵まれないものでも稽古を積めば大きく強い者にも勝てるという事を立証してみせたのはすばらしい事だ。
これは、これから空手を学ぼうと思っている体力的に恵まれない多くの人に勇気を与えるし、体格で勝る実力のある強者でも敗れる事はあるという教訓を残した。
今回この二人は共に実力を出し切って決勝戦を戦ったが、内容が完璧だったわけではない。
まだまだ足りない所は多くあるし、修正すべき点は数多い。
また、実力を出し切れずに敗れた多くの強者も、これを機会に更なる研鑽を積んで自分を高めて欲しい。
いよいよ無差別級決勝戦開始 正面に礼
お互いに礼
右 園田(剛)二段の前蹴のカウンター 左 日辻初段の前蹴
左 園田(剛)二段の飛蹴 左 園田(剛)二段の上段突
右 日辻初段の上段突 左 園田(剛)二段の上段突
交錯する攻撃 交錯する攻撃
以下延長戦
左 園田(剛)二段の下段蹴から上段突への連続技がきれいに決まり、副審がすかさず笛を吹き有効の指示。
これがこの試合唯一の明確なポイントとなる。
最後は旗判定となり、副審二名の赤、そして主審の赤判定で園田(剛)二段の勝利が決まる
正面に礼 互いの健闘を讃えあう