2011/08/21
合宿初日の集合写真
平成23年度の夏期合宿はある意味現空研史に残る合宿となりました。
それは、例年行われる10人組手の内容によります。
10人組手は合宿の花で毎年悲喜こもごものドラマが生まれます。
どの合宿を思い出しても印象深いものばかりです。
10人組手を完遂した者は黒帯が締める事が許されその多くが心技体の揃った空手家に育っていきます。
現在強豪と呼ばれる上級者達も全てこの関門を潜り抜けてきた者です。
そして10人組手にチャレンジを許される者は大体、その時点でその片鱗を見せているのが普通です。
しかし今回だけちょっと様相が異なっていました。
今年の合宿での10人組手挑戦者は二名と連年と比べて少なかったのですがその二名ともが軽量級ということ。
特にその中のGoto1級は体重が48kgという現空研始まって以来最軽量の一般男子会員です。
もう一人のTakamori1級も60kgそこそこでこれまた現空研では軽量組の一人です。
そしてそれを強調するもう一つの条件が揃いました。
それは、今年は大震災の影響が強く、道場も正常に使用できるようになったのはここ最近でそれまでなかなか思うような稽古ができなかったことや震災にかかわる仕事や影響で合宿に参加できる会員減った事などもあって参加者が通常の半分近くに減りました
少々人数が減っても、通常であれば10人組手の相手を選出するのはさほど困難ではありません。
しかし今年は違いました。
合宿参加者の大半がこの二人より体重が重いのは当然としても、特に重量級の高段者や強豪がこれでもかと揃ったことです。
例えば今年度現空研大会無差別級優勝者のNito(兄)三段、昨年度現空研大会無差別級優勝者のUchida初段(100k超級)をはじめ、大会優勝者、入賞者のオンパレードです。
現空研の10人組手は一試合二分間の現空研式フルコンルールで行われます。
防具を着用とは言え特にGoto一級は自分の体重の1.5倍から2倍の体重のあるしかも現役の黒帯と対戦しなければならないわけです。
正直対戦者の人選では頭を悩まされました。
しかし人数の関係で殆ど体重調整はできず、100k超級のUchida君を外すのが精一杯でした。
ちなみにGoto1級の対戦者は
Enomoto 初段 第一回現空研大会一般部軽量級優勝
Endo 初段 第三回現空研大会壮年部中量級準優勝
Tasiro 初段 第四回現空研大会壮年部中量級三位
Saisyo 初段 第四回現空研大会壮年部重量級準優勝
Watanabe(R) 初段 第四回現空研大会一般部重量級三位
Suematu 二段 第四回現空研大会壮年部軽量級準優勝
Watanabe(Y) 二段 第四回現空研大会一般部重量級三位
Namekawa 二段 第四回現空研大会壮年部軽量級優勝
Sonoda(T) 二段 第四回現空研大会一般部軽量級優勝
Nito(兄) 三段 第四回現空研大会無差別級優勝
という布陣です。
Takamori1級も10人目がNito(兄) 三段とTakagi二段(第三回現空研大会壮年部重量級準優勝)が入れ替わっただけです。
このメンバーとの対戦の意味は現空研会員なら一見して理解できるでしょう。
私は審査員席で隣のNakabachi筆頭師範と今年は完遂は無理かもしれないなと話した程です。
それより、いかに事故をなくすか、無事二人を生還させるかということを一番の念頭におきました。
現空研は全員武道家としての心構えや態度、振る舞いについては厳しく指導をする方針ですが、殆どの会員は既に自覚していて厳しい指導をうける者はごく少数です。
それほど紳士が揃っているわけで危険な組手をするものは居ないはずですが、今年は特にその事を注意しました。
そして10人組手が始まりました。
最初はTakamori1級からです。
苦しい展開は既に初回から起きました。
Enomoto初段の冷静沈着ではあるが容赦のない突き、蹴りはTakamori1級のスタミナを初回から消耗させていきます。
元気に応戦しているTakamori1級ですが、問題は持久力です。
二人目にしてあのEndo初段の登場です。
とにかく初回から最後まですさまじいまでの消耗戦となりましたがTakamori1級は良く耐えました。
しかもただ耐えただけでなく最後まで攻撃の精神を忘れることなく相手を倒しにかかった精神力はすばらしいの一言です。
10人目のTakgi二段には何度も重い蹴り、突きでダウン一歩手前まで追い込まれますが、気力は最後まで充実しておりとうとう見事に10人組手を完遂させました。
全員からの割れんばかりの拍手の渦の中完遂の宣言を受けました。
Takamori1級(右)の10人目 Takgi二段(左)の強烈な前蹴で一瞬ダウンしかかります。
しかし見事10人組手を完遂で全員の拍手の中Takgi二段の祝福を受けます。審判は酔っ払い師範。
二番目に登場のGoto1級は現空研最軽量の48kgです。
しかし初戦から早々を絶するフルパワーの組手をしました。
正直このペースだと3人くらいで消耗してしまうのではないかと思わせる程でした。
しかし予想は良い方に裏切られます。
初戦から有効ポイントを取り、殆どの試合でポイントを重ねる積極的な組手を展開していきました。
最終戦の対Nito(兄)三段との対戦でも上段回蹴を食らって技有はとられますが、一瞬の隙をついて接近しての上段突きではポイントを奪うなどの善戦を展開しました。
後でNito(兄)三段からも感嘆の感想を聞いたほどです。
それでも終始圧倒的な体力さの中激烈な消耗戦を強いられたのは事実で、彼を支えていたのは体力の差を埋める精神力だったのでしょう。
見事歴史的な10人組手を完遂させました。
Goto1級(右)の10人目 Nito(兄)三段の強烈な突きを何発も貰いますが賢明に耐え抜きます。
そしてとうとう10人組手を完遂し全員の拍手の中Nito(兄) 三段の祝福を受けます。 審判はNakabachi師範。