ヒット カウンタ

2005年春季散打友好大会

今回は、現空研として散打友好大会に正式にエントリーさせていただいた。
大会は、友好ムードの中、試合は盛り上がり大変有意義な一日であった。

普段あまり接触のない中国拳法のデモンストレーションも拝見し勉強になった。
特に酔拳の演武者の独特な妙技には拍手も多かった。

散打友好大会は基本的に優劣を決める試合ではなく、互いの技を競い合うことで自己研鑽の一環とし武道という共通の基盤での友好を深め合うためのものであると理解している。

したがって、競技の判定も細かくポイントを重ねる形式であるようだ。
一方現空研は、フルコン空手の試合形式に慣れているので、最終的に効かす技を得意としており、普段からダメージのない攻撃はあえて受け流したり効きを殺すということを指導している。

もちろん、通常の稽古は安全性を常に最優先した体系で行っているが、ヘッドギアを着けたり防具を着けた場合は、そのルールの中ではフルコンタクト、いわゆる倒すための技術を追求している。
そのため、細かくポイントを取っていく形式に慣れてない現空研の選手は初戦は戸惑いも多かったようだが、後半はコツを掴んできた選手が多かった。

ダウンを奪うシーンは現空研選手が多少目立ったようだ。
様々な武道、流派の対戦で、それぞれすばらしい技の持ち主がいて相手をさせていただいた現空研の者も多いに勉強になった大会であった。

Siba2段
今回の参加者のうち現空研二段のSiba得意の上段回し蹴が決まったシーンを紹介したい。
赤の防具、ヘッドギアの選手が現空研Siba2段である。
(相手の方の名誉のために付け加えておくが、大変技の切れる選手であり突きのスピードはトップクラスであった)
Siba二段の蹴りが効いた一番の理由は、膝の折りたたみが完全であったこと、相手の攻撃に対してカウンターとして決まったことによる。
普段道場で私が繰り返し指導している稽古の内容がそのまま実行された形になりうれしかった。

siba2段KOシーン

Nito(兄)初段
Nito(兄)初段は2回目の参加であるので、初回よりは慣れている事が見て取れた。
現空研では先月より、グラブやヘッドギア等を着用した場合の効かせる技を重点課題として稽古をしている。
特に今回の大会向けというわけではなく、様々な条件で最も効率的な打撃の方法を身に着けさせるのが目的だ。
武道としての空手を追及するには倒せる技でなければ意味が無いからだ。
競技としてのポイントを稼ぐ技は現空研はあまり重点を置かない。(スポーツとしての空手に意義が無いという考えではない事は理念等で再三述べている)
正拳による上段突きは、効かせるためにはあるストローク、言葉を変えれば一定の時間経過の間エネルギーを保持するのが効率的だ。
現空研ではこうした突きでなければ、形として当たっていても技有りは取らない。
一瞬のピークを最大限にする破壊のための突きと、限られたタイムスライスの間のエネルギー積分値を最大限にもっていくやり方の差を理解しておく必要がある。
今回Nito初段は、それが上手に出来たケースと出来なかったケースがある。
このシーンはそれが出来たケースである。
最初の上段突きは、十分打ち抜く突きになっているし、KOを奪った裏拳の後ろ回しによる振り打ちは腕を鞭のように使って効率的にエネルギーを打撃力に換えている。
なお、この動画には入っていないが、腕を直角に曲げた位置からノーモーションで相手の顎を狙う正拳顎打ちが再三相手の顔面を捉え、有効、あるいは技有りを取っているシーンがある。
これも現空研独特の技である。
赤防具がNito初段。

Nito(兄)初段KOシーン

Horikomi(3級)
Horikomi君は現空研に入会してまだ日も浅いが大変稽古熱心で上達も速い。
また自分の弱点を常に把握してその強化に努める努力家でもある。
今回散打大会は初参加であるが黒帯の強豪相手の勝利はりっぱである。
倒すための突きに徹した連打攻撃や頭を振って間合いを詰めるやり方、また突きの間合いからの上段回し蹴等普段私が倒すための技術として教えていることを素直に実行している。
まだ上体の動きに硬さや力みも見られるが、初めての対外試合でこれだけの実績を残せたのは本人にとっても大きな自信となったであろう。
この動画では頭を振って入り、いきなりの上段蹴りで技有りを取ったシーンと、相手をダウン直前まで追い詰めた、たたみかける連続攻撃を見て欲しい。
黒の面、防具がHorikomi君である。

Horikomi上段回し蹴および連撃

現空研では倒すための突きとして「後頭部まで打ち抜く」突きという指導をしている。
基本稽古においても、イメージとして顔面から後頭部まで貫くイメージを常に持たせることによって、普段寸止めの稽古をしていてもいざ「当てる」あるいは「当てても良い」場面にすぐ対応できるようにするためである。
当てる、当てないというコントロールが自在にできることが大切なのである。
このコントロールで「貫く突き」が実行された例がこの動画である。
赤の面、防具がHorikomi君である。 

Horikomi上段の突

Nito(弟)(2級)
Nito君は小柄ではあるが天性のバネをもっており格闘センスは抜群である。
カウンターやダッキング、スウェー、ヘッドスリップなどの技法は教えるとすぐ砂が水を吸収するように自分のものにしていく。
現空研は普段顔面は寸止めで稽古をしているにも関わらず、前回初めての出場である顔面ありの大会で全勝した。
今回は散打およびキックルールによるグローブマッチにも空手衣で出場したがこれにも勝利した。
現在対外試合は無敗である。
彼の良さは、接近した時常にリラックスした左右の動きで相手に的を絞らせないところにある。
そして一旦攻撃モードに入ると相手を倒すまで攻撃の手を緩めない。
最近は脱力して攻撃するコツもだんだん掴みつつあり、まだまだ強くなる余地は十分にある。
まだまだ技術的に未熟な所も多いが、体重差、身長差をものともしないその戦い振りは小柄な人にとっての良いお手本になるだろう。
赤防具がNito(弟)である。 

Nito(弟)上段突き(カウンター)によるKOシーン

Kadowaki(3級)
Kadowaki君はボクシンクの経験もあり、積極的な攻めの組手が特徴だ。
今回の対戦相手は西洋人の中国拳法家で、まだ経験は浅いようであるが体格もよくパワフルであった。
Kadowaki君は相手を良く見て、上段の突きを決めるが、相手はパワーで押してくる。
パワー系の初心者にありがちな攻めのパターンであった。
しかしこの対戦者の方は別の試合では有段者相手に勝ちを得ていたのでかなりの実力者であることは間違いない。
Kadowaki君は相手の隙をみてタックルをしかけ、テイクダウンを奪った。
この大会では、立関節技しか認められていないのでこの段階から腕ひしぎや締め技には入れない。
しかしテイクダウンはポイントになるので、Kadawaki君は突きと再三のテイクダウンを取ることで圧倒的な判定勝利を得た。
寝技が許されるならここから関節に入るところである。
関節技、締め技も稽古する現空研ではこうした対応も可能である。
赤の防具がKadowaki君である。

Kadowaki タックルでテイクダウンを奪う

Suehiro(1級)
Suehiro君は今年の夏10人組手を控える1級の選手である。
爆発力には欠けるが、相手の弱点を感ずる格闘センスがあり、一旦自分の間合いに入ればたたみかける攻撃が信条だ。
足も良く上がりバランスがとれている。
10人組手への課題とすればより一層のパワーアップそして一発の破壊力を磨くことだろう。
今回の大会で彼の長所が発揮されるシーンも多かったが課題がより明確になったシーンもあった。
赤防具がSuehiro君だ。

Suehiroタックルをかわし逆にテイクダウンを奪う

Suehiroの執拗な連続攻撃

Sugiyama(3級)
Sugiyama君は軽量ながら足技の巧みな選手である。
現空研に入る前は極真空手をやっており、フルコンの基礎はしっかりしている。
今回、顔面ありの大会には初参加でありルールの不慣れさで苦しむ場面も多かったが良く対応していた。
ルールに慣れてくると飛躍的に活躍できると思う。
赤防具がSugiyama君だ。

Sugiyama上段回蹴が決まる

Ikeda(キックボクシング)
Ikeda君は、現空研で活躍しているIkeda初段(他流派防具空手二段)の弟さんである。
現在キックボクシングジムでトレーニングを続けている。
今回は、散打ルールとキックルールの両方にエントリーしたが、空手の選手相手に特徴ある攻撃方法を見せてくれた。
構えはキックボクシングそのものであり軽くリズムをとりながら素早い回し蹴と左右ストレートのコンビネーションが上手い。
この動画の相手は空手選手であるが、落ち着いた腰の据わった構えで対照的なスタイルである。
一撃必殺の構えと連打で攻撃するIkeda君との試合は見ていても面白かった。
赤防具がIkeada君だ。

Ikeda絶妙なカウンターでポイントを奪う

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