忘年会、新年会と酒を飲む機会が最も多いのが今の時期です。
酒は人生の潤滑油ですばらしいものです。
しかし、酒を飲むのではなく、酒に飲まれて人格がおかしくなる人もいます。
どんなに酒を飲んでも、普段とまったく変わらない、酒豪もいれば、いきなり泣き出す人やはだかになって踊り出す人、変に難しい顔になって「ガツーン」と言い出す人もいます。
つまらないトラブルも発生しがちです。
グループ内でのもめごとや、他のグループとのもめごと。
こちらが空手をやっているというだけで、逆に挑発してくるようなとんでもないのもいます。
女(あるいは男)の尻をおっかけることだけが目的の人もいます。
酒の席といっても、内容はさまざまですから一概にどうのこうのは言えませんが、いづれにせよ、我々は空手をやっていますから、普通の人とは違う注意が必要です。
まず、注意しなければいけないのは暴力です。
酒の席では、こちらは絶対人をなぐってはいけません。
相手が殴ってもです。
少なくとも素手であれば、顔でも腹でもすきなようになぐらせます。
痛かったら避ければよい。
でも、ほとんどの場合痛くも痒くもありません。
よくあるケースが、
「おまえ空手やってんだって。俺と表で勝負しよう」
なんて絡んでくる輩の登場です。
絶対挑発に乗ってはいけません。
「降参、降参、あんたが大将」といって逃げます。
昔、赤坂の飲み屋で世界チャンピオンのプロボクサー渡嘉敷さんのグループと顔を合わせた事があります。
そのとき、こちらのグループにアホがいて、酔った勢いで渡嘉敷さんに絡んで困ったことがあります。
「こっちの空手とそっちのボクシングどっちが強いかやってみろ」ってな事を言い出したのです。
私は困ったなと思っていたところ、渡嘉敷さんの言葉が聞こえました。
「いやー僕弱いですから」
本当に強い人はこうなんです。
そのアホは格闘技の素人で取引先の社長の友人です。
他のグループといざこざが起きたときはどうするか。
これも同じです。
他のグループといってもヤクザやマフィアではないでしょう。
ほとんどの場合、いつもはまじめなサラリーマンのお父さんやお兄さんたちです。
その中のはねっかえりが一人くらい先に手を出したとしても、殴られたのがあなただったら、目くじらたてる必要はありません。
許してあげてください。相手は英雄気取りなのですから。
ただし、知らない人が相手の場合、相手も内心では怖いわけですから、妙な興奮状態を誘発する場合があります。
殴られながらも毅然としてください。笑顔がでれば満点。ちょっと怖いけど。
ただ、素人の人ってこちらが黙って殴らせてあげても、なかなかヒットしません。
ヒットしないので余計アドレナリンが噴出して強暴になってくる人が結構多いのです。
空手家は、普段殴られない稽古をしていますから、こういうサイクルに入ると、体が自然と「いなし」、あるいは「さばき」モードになり、ますますヒットは難しくなります。
私が普段、道場で殴られる稽古をしろといってるのはこのときのためです。(冗談冗談)
こういう場合はしかたないので、頃合を見て一喝してください。
目を覚まさせる意味でなるべくでかい声が良い。
大切なのは頃合。
最初から怒鳴ってはダメ。
30秒くらいで相手はメロメロになりますから、そういった頃合を見て一喝です。
これで大抵収まります。
どんなに相手が無様でも、
「お前もなかなかヤルナア」といった相手の自尊心を傷つけないフォローも空手家のたしなみとして知っておいて下さい。
昨日の敵は今日の友、といった楽しい場に一転することもしばしばです。
どうせ、酒の席なのですから。
やはり一番こまるのは、こちらのグループに不心得者がいる場合です。
「今日はこっちに○○がいるから怖いものなしだ」なんて、虎の威を借りる狐のような馬鹿がときどき出現します。
私は学生時代、こういったケースで何度かいやな場を体験しました。
こういう輩にはあらかじめ釘を刺しておくことをお奨めします。「自分で蒔いた種は自分で刈り取れよ」。
いずれにせよ、「酒の席では手を出さない」
が空手家の大原則です。
酒の席に女の子がいる場合の心得については、章をあらためて書きます。
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