現空研のサカ坊はちょっと変わっています。
彼はもともとバトミントンの選手です。
そのせいかどうかはわかりませんが、動体視力が良いというか、彼の空手は反応時間が短く、大変勘の良い動きをします。
彼は入門時、私にメールをくれました。
それは、体が小さくても空手をやることができるでしょうかといった内容でした。
私の答えはもちろんイエスです。
格闘技においては体の大きさというのは大変アドバンテージの高い資質です。
同じ程度の鍛え方であれば大きい方が有利であることは間違いありません。
もう少し詳しく言えば、体の大きさが最も有利に働くのは白帯から茶帯になったばかりの程度のクラスと、逆に極限まで鍛えこんだ格闘技のプロの世界です。
通常は黒帯クラスになると、体の小さい人は自分の特質を逆に生かす方法を知っています(知っているから黒帯を取れたとも言えますが)からもはやハンディではありません。
しかし、極限まで鍛えこんだK1のアンディーフグ選手やかつて極真会館の全日本チャンピオンに輝いた緑健児選手も試合相手の選手たちと比べると小柄です。
空手ではないが合気道の伝説的達人の塩田剛三氏も身長が145Cmだったそうです。
体の大きさが最も有利に働くといわれる相撲の世界でさえ、横綱千代の富士は幕内最軽量の部類でしたし、現在の横綱貴乃花でも、おそらく幕内の平均よりは軽いでしょう。
例えは適切ではないかもしれませんが、いわゆる裏の世界での喧嘩の名人たちも概して小柄の人たちが多い。
体の大きさは決して武道において決定的な要素ではないとういことが分かります。
でもこれは小さい方が有利だという意味ではありませんよ。
体の大きさで自分の可能性を自ら否定する必要はないという事。
現空研では「ちびの会」という派閥があって、体の小さな者ばかりで、体の大きな者を制するための秘策を日夜研究しつづけているらしいのですが、その首謀者の一人がサカ坊だといううわさです。
サカ坊は、昨年稽古中に膝を負傷しました。
しかし、手術が無事成功し現在は傍からみる限りでは完全復活できたようです。
彼の怪我からの復活とそれを成し遂げた精神力および地道なトレーニングの成果は彼の組み手を一目見れば分かります。
彼なら自分より20Cm身長の高い相手の顎を苦もなく蹴り上げることができるでしょう。
これからも、飛ばし過ぎないように、しかし休み過ぎないよう軟らかな決心で長期間自分を鍛え上げてより完成度の高いサカ坊空手を実現してもらいたいものです。
小さくて強い空手家の存在は小さい人に大いなる希望と勇気を与えるだけでなく、大きな人にも良い刺激と勉強の機会を与えることになります。
トップページへ