高校時代の悪友にSという男がいる。
彼とは、むしろ卒業したあと親しくなった。
彼も、いわゆる型破りな男であり、九州男児の典型だ。喧嘩も強いが酒にも強い。
ダンディーコピーライターの他那架もよく知っている。
中鉢筆頭師範も知り合いだ。
しかし、今回はS自身の話ではない。
少しまえ、背の高い若者2人が入門してきた。
そのうちの一人は大男のクラさんよりもっと背が高い。190Cm近いのではないか。
多少の経験もあるという。
名前を聞いたところ、どこかで聞いたことのある苗字Sだ。
Sはあまりありふれた名前ではない。
もしや、と思ってきいてみるとやはりSの息子ではないか。
いやーびっくりしたのなんの。
彼は、インターネットで現空研を知り、興味を持ってたずねてきたのだという。
もちろん私と父親の関係などまったく知らなかったという。
親父と違って性格は素直で明るい。
しかも、格闘センスは抜群だ。
やわらかく長身を利した伸びのある蹴りは、末恐ろしい飛躍を予感させる。
こういったすばらしい若者が悪友の息子として登場することに、やはり感慨を覚える。
俺の空手人生もずいぶん長くなったものだ。