「よっぱらい」は「牛」と「トクマン」それに「K師範」の兄貴分です。
トクマンがまだ白帯の頃。
ある日、トクマンが変な男を連れてきました。
自称「さすらいのよっぱらいです」としょうする変な男です。
トクマンが現空研(当時は拳誠会)に入り、ここを気に入ったのかどうかはわかりませんが、ある日、兄貴分の「よっはらい」を連れ込んだのです。
この「よっぱらい」、最初に道場にきて、「空手というものもちょっとおもしろそうなので、お願いします。」
といって吐いた息の酒クサイことといったらありません。
顔の半分は髭で覆われています。
「武道の経験はあるの」と私。
「いえ、ぜんぜん」とよっぱらい。
酒の匂いをプンプンとさせながら、入門してきた彼の空手衣の着方を見て、でも、ただものじゃないなと思いました。
ある程度長い空手歴あるいは柔道その他の武道歴のある人にはお分かりいただけれると思いますが、
道衣の着方で初心者か経験者かは一発で分かります。
ばけの皮はすぐはがれました。
ためしにやらせてみた組手で、茶帯クラスは軽くあしらっています。
ガンガン攻めてはいませんし、突きや蹴りも、もらっていますが、余裕があることを隠せると思ったら甘い甘い。
素人のふりして、流していることぐらいすぐ分かります。
彼は少林寺拳法の2段でした。
突き蹴りの速さときれいさは天下一品です。
しかし、毎回焼酎の匂いをプンプンさせながら道場に来る神経の図太さにはあきれました。
やがて、彼は仲間のヨットを管理する会社に入ります。
会社や個人の大型ヨットやクルーザーを管理したり、運送することが仕事です。
テレビに良く出てくる有名人のヨットを外国まで帆走したといった話を良く聞きました。
しかし、バブルの崩壊とともに、その会社は解散し、
今は建築会社の営業マンとして活躍しています。
彼は、現空研の3段で師範です。
彼が水を飲んでいるところを見たら、それは水ではなく酒です。