ヒット カウンタ

高校時代の悪友と飲んだ-いちおう完結



しかし、剃ってしまった後ではどうしようもない。
ヒゲは生やさなかったが、このあおあおとした寒々しい頭はいやでも目立ってしまう。

事情をぜんぜん知らない担任のヨタロー先生は、私を見るなり、
「お、反省して頭をまるめたのか」

と、いかにも訳知り顔でのたまう。
オレがいったい何を反省しなけゃいけないんだ。まったく。

あのときの反省の目的語はなんだったのか、いまだに分からない。
犬殺しも私の頭をみて、

「よかよか」
これもいったい何がよかよかなのかわからない。
(※犬殺しは先生のあだな)

最初の2,3日はビクビクしていた我々も、喉元すぎれば熱さ忘れるのたぐいで、そのうち平気で西新町の繁華街を徘徊するようになった。

変装が功を奏したのか、お礼参りを受けることもなく、この事件もだんだん話題に上ることもなくなり青春時代の良き思い出かどうかはわからないけど、過去のお話になっていったのだ。

高校生の時の喧嘩の話は山ほどあるがこの話は他那架が一番気に入っているらしく、飲むと最初にでてくるのがこの話なのだ。もちろん私にも異存はない。

他那架は現在コピーライターをやっており、テレビで放映されている誰もが知っているコマーシャルで彼が手がけたものは多い。
銀座に事務所がありジャガーを乗り回すダンディーを絵に描いたような男た。

もちろん頭はポマードでびしっときめている。

いちおう完。

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