神様がこっそり未来を教えてくれたら   情報の話

東京造形大学 コンピュータ技術論 第4回講義

2009/05/07


 

今日は講義のビデオを撮ってもらった。撮影者は↑彼女。

 

講義資料を配布

 

講義の後、昼食中の学生と記念写真。

 

今日の講義の内容は情報。

前期の内容で最も重要なテーマだ。

 

そもそも情報って何だろう。

10秒で解答しなければならないとしたら。

 

「情報とは不確かさを減少させるもの」 これが解答になる。

でも、これではあまりにも定性的で精緻な議論ができない。

 

もし、神様がいて、将来起こることを一つだけ教えてもらえるとしたら何を教えてもらうだろう。

一つだけとしたらどんな事を教えてもらうのが価値があるのだろうか。

 

誰もが推定できるような事はあまり価値がない。

めったに起きない事が明日起こるとする。

そしてそれを事前に知ることができればそれはすごく価値のあることだ。

 

一つだけ教えてもらうとすればなるべく起こりそうでない事で実は起こるという事を教えてもらうのが凄く価値がある。

情報理論はこうした情報の価値を定量的に把握するために生まれた。

 

もし神様が今から投げるコインの表がでるか裏がでるか君だけにこっそり教えてくれたとする。

このコインの裏表で賭けをしたら君は絶対に勝つことができるわけだ。

 

でもコインの裏表のかけならあてずっぽうでも50%は当たる。

もちろん神様に教えてもらった君は100%と当てることができるのだから有利であることに変わりはないのだが。

 

このコインの裏表つまり「あれか、これか」といった確率1/2の出来事(事象という)を事前に教えてもらったとき、この情報量を1ビットという。

ビットとはこのように情報の量の単位である。

 

2ビットは確率1/4の出来事の情報量、3ビットは1/8の出来事だ。

この確率の分母は2のn乗になっていることに注意してほしい。

 

8ビットの事を1バイトと言う。

1バイトの情報とは8ビットの情報だから2の8乗つまり256が分母になる。

 

1/256の確率の出来事を神様から事前に教えてもらったとするとそれは1バイトの情報を得たということになる。

めったに起こらないという意味で「万が一」という言葉がある。

 

「万が一」というのはどのくらいの情報量だろうか。

1万が2の何乗かを計算すればよい。

 

せいぜい13乗から14乗すれば1万くらいになる。

「万が一」は14ビットにもならないのだ。2バイトは16ビットなので2バイトでおつりがくることになる。

 

いまや携帯電話のメモリーさえギガバイトの情報容量をほこる時代である。

神様から「万が一」のお宝情報を教えてやると言われても、それはたかだか2バイトの情報でしかない。