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カラスは引き算ができる 2進数の話

東京造形大学 コンピュータ技術論 第3回講義

2009/04/30


 

 

今日の講義は2進数だ。

 

今日の話ははちょっと難しかったかもしれない。

高校のころ数学が好きでも、2進数とか集合論はどっちかというと日陰もの扱いであまり詳しくは勉強しないものだ。

 

それに、2進数が一体生活の中で何の役に立つかさっぱり分からない。

2進数に限らず数学というものがそもそも日常の役にたっているという実感がわかないのだけれど。

 

人間、役に立つと分からないものを熱心に勉強する気にはなかなかなれないのだ。

勉強のモチベーションで最強のものは「好き」であることだ。

 

これは絶対的な強みである。

人間好きなことをやっている時が一番幸せなのだから。

 

だから、好きなものを一生懸命やっている時は、努力している自覚すらない。

だって好きだからいつまでもやっているだけで、ぜんぜん頑張ってなんかいないからだ。

 

モチベーションで2番目のものは「役にたつ」だ。

これは、生活や仕事の役に立つとか金儲けとか名誉を得ることでも良い、何か自分にとって大きなプラスになるという事は大きなモチベーションになる。

 

2進数の理論が好きで好きでたまらないという変人意外は、だいたいこんなもの退屈に決まっている。

しかし、これはすごく役に立つのだ。

 

とは言ってもコンピュータのプログラムやシステム開発の理論的な部分にかかわらなければすごく役に立つという実感は得られないかもしれない。

じゃ、勉強する意味はあるのか、ということになる。

 

これがちゃんとあるのだ。

ということで、今日はそもそも数学が何の役に立つのかという話を前半した。

 

対数(log)のありがたさは人間の感覚器官の鈍さを補うところにある。

芸術の世界に絞ると、音や光の変化に対する我々のセンサーである眼や耳のいいかげんさ、鈍さが大いに関係している。

 

エネルギーとしての2倍の音や光は我々にはとても2倍もの変化を感じない。

地震にしてもそうだ。

震度やマグニチュードの数値は物理的なエネルギーの絶対値と人間の体感の格差埋めるために対数的な関数を使っている。 

 

このプアな人間のセンサーを補う道具(ソフトウエア)の一つとして数学が役に立つ。

微分、積分の意味も今まで分からなかった人も今日何となく分かったと思う。

 

補数の話もした。

補数とは何かはもちろん大切だが、「何のため」を知っていると勉強が楽になる。

 

コンピュータという出来の悪い召使は、足し算しかできない。

足し算しかできないコンピュータに引き算をやらせるために「補数」という道具を使うのだ。。

 

引き算はとても高級で繊細で芸術的な思考様式である。

そして引き算にはドラマがある。足し算にはない。

 

コンピュータにはできない引き算、その繊細な引き算を理解できる動物が人間以外にもいる。

それはカラスだ。カラスは引き算ができる。

 

山小屋がある。そこには食べ物がある

その山小屋に人が1人入った。

近くでカラスが見ている。

カラスは人が中に居るので遠くから見ているだけだ。

しばらくしてまた別の1人が来て中に入った。

カラスはただ見ている。

それからまた1人来て入った。

そしてしばらくすると2人が出て行った。

じっと見ているカラス。カラスは動かない。

中にまだ1人残っている事を知っているのだ。

そして最後の1人が出て行った。

そこでカラスはおもむろに行動にでる。

窓をこじ開け中に入ってご馳走を全て頂くのだ。

 

引き算ができなければこんな行動は絶対に取れない。

 

コンピュータはカラス以下なのは間違いない。

でも、カラスにも人間にもまねできない絶対的な魔力をコンピュータは持っている。

 

その話は来週することにしよう。

 

※それから今日話したニワトリの話とスズメの話も全て実話です。